健康になる住まい 2

建造物を誇らしく彩る自然素材

前回では自然素材の優と称される〝漆喰〟の特性に触れましたが、このところの自然素材ブームで漆喰以上に多用途に使われているのに〝珪藻土〟があります。
珪藻土層を切り出し、整形焼結した「七輪」の材料と言った方が解り易いかも知れません。

珪藻の遺骸堆積物である事は周知の如くですが、海水産と淡水産があり、それぞれ能登地方や岡山の蒜山地方が有名です。
能登と言えば輪島塗で有名ですが、木地に漆の吸着力を高めるために珪藻土を混ぜていると聞きます。前にも触れたように、漆喰や石膏、セメントは水と混ぜれば固まる性質があるのでそのまま建材として使うことが出来ますが、珪藻土には固化材が必要です。

漆喰と同じように安全で身体にやさしい素材であることは誰もが認めるところです。しかしながら、性質上、固化材が必要であり、左官材としての珪藻土建材の殆どが合成樹脂を使っているところに懸念があります。
湿度調整や断熱、保温効果など、珪藻土が持っているこれら万能性質が、この合成樹脂の成分よって阻害されることは否定できません。固化材に頼る珪藻土は樹脂の経年劣化で粉塵になる可能性が高いというデメリットもあるだけに合成樹脂の安全性と耐用年数の表示は明確にすべきでしょう。

今や住宅市場のセールスポイントになっているだけに、珪藻土の含有が微量で、珪藻土の特性が生かせない粗悪品が流通している事実も少なくありません。
製品により珪藻土の混入率にかなりの幅があります。
言い換えれば、それだけ多様な形で珪藻土が製品化されていると云う事です。合成樹脂混入する事の全てを否定しませんが、固化材として石灰(漆喰)やセメントを用いれば合成樹脂のような劣化も無く、またアルカリ成分ですから防カビ材も不要です。

漆喰、珪藻土、聚楽などの伝統建材は日本の建造物を誇らしく彩る自然素材です。伝統的に培われ、育んできた自然素材を混在させるだけで、「健康住宅」は継承できます。自然素材の市場拡大に期待し、努力したいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です