健康になる住まい 1

しっくい・漆喰・SHIKKUI

漆喰は、四季のある日本の気候風土に適し、根差した伝統的建築材料であり、私の好きな建築材料でもあります。活動のほとんどが住宅設計に関与している事もあり、健康的な住まい創りの提案には欠かせない素材だと考えています。
 漆喰は古くから城、社寺、土蔵、民家などの建造物の壁に使われてきた材料ですが、新建材の普及に伴い急速に衰退して行った事実も否めません。しかし近年、漆喰の特性が表面化されるにつれ、建材としての優秀さが再評価されています。特に、「シックハウス症候群の主たる要因とされるホルムアルデヒドを吸着分解する」というデータには大きな注目と関心が集まりました。
 伝統的に培ってきた漆喰は消石灰を主原料として、麻スサや海藻糊を混合しただけの白漆喰に代表されますが、昨今は左官職人の不足もあり、施工の容易性とコストダウンが求められての「既調合漆喰」が一般的に普及しています。
この漆喰は、消石灰に樹脂や化学繊維、顔料、油等を練り込み、強度や防水効果を高め、さらには色合いを持たせて、使用目的に適した使い方ができる自然
素材として人気があります。
 現在、漆喰と称されるのはこの既調合漆喰であり、配合の研究が進むにつれて、素材を生かした
● カビ、ダニに強い抗菌性能
● 汚れが付きにくい防汚性能
● 燃えにくい耐火性能
● 結露しにくい調湿性能

と言った万能建材のようなメッセージも発信しています。
 日本の伝統的な左官技術を継承していく上でも欠かせない建築素材です。左官技術の「小手先ひとつ」で純和風にも洋風にもその表情を変える事ができ、好みやセンスに合わせて多様な空間を演出する材料でもあります。
 余談ですが、同様な目的で使われている素材に珪藻土(けいそうど)がありま
すが、漆喰とは大きな違いがあります。似たような効果はありますが、性質上の違いにおいて、漆喰はそれ自体が固まる性質や抗菌性を持っているのに対し、
珪藻土にはその性質がなく、仕上げ材に使用するためには、接着剤や防カビ材等
の補助的物質が必要になる点です。補助的物質が劣化すれば、珪藻土はバラバラ
になってしまう可能性があります。
 その性質を熟知した上で配合物質に留意し、シックハウスの要因にならない安全な建材として普及していることも確かです。漆喰と珪藻土は、今や健康住宅提案に最も使いたい自然素材といえるのです。

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